中学生になると、試験範囲が増えたり難易度が高くなったり、板書が増えたり、学習障害の子供にとっては不安な要素がどんどん増えてしまいます。
授業についていけるのか親も子も入学前は、大きな不安を抱えていました。
しかし、地域の支援センターが学校と保護者との間に立って、入学後にスムーズに合理的配慮が受けられる体制を前もって作ってくれました。
子供が中学でも学生生活を困難なく行えるように受けられる合理的配慮はどんなものがあるかや、その合理的配慮を受けるための流れについて詳しくご紹介します。
学習支援センターでは中学での合理的配慮の相談だけでなく、高校入試に関する相談やアドバイス等先の見えない不安も親身になって相談に乗ってくれました。
テストの点数が採れなくても、内申点アップのアドバイスや入試に役立つ情報も後日まとめますので、是非参考にしてみてください。
中学校で合理的配慮を受けるための流れ
我が子が中学入学にあたって、まず地域の学習支援センターが現在の読み書きの状況をみてくださり、中学でも支援や合理的配慮が必要との結果でした。
小学生の時、通級に通っていたので通級を通じて学習支援センターに連絡をとってくれましたが、通級に通っていない場合は自分から入学前2月頃から学習支援センターに問い合わせしてみるといいと思います。
学習支援センターが分からない場合は教育委員会もしくは学校の先生に問い合わせると窓口を教えてくれると思います。
その結果をもとに中学入学前または入学後の早い時点で担任の先生や主任の先生と保護者と面談をしていただく機会を設けていただき、子供の小学校での様子・それまで受けていた合理的配慮・その必要性等を伝えることができました。
すべて支援センターの先生が中学校と連絡をとってくれ同席もしてくれたのでとても心強かったです。
面談前には、小学校で受けていた合理的配慮が中学校でも必要かどうか、または小学校のときの配慮以外にも必要なものがあるか等お子さんの今の状況を把握してお子さんと相談してから学校と面談をするといいと思います。
公立の場合は、小学校の先生からの引継ぎがある場合もあるそうですが、それでも親からの説明はしておいた方が安心です。
普段の授業での合理的配慮
中学生になると板書が増えたり試験前の見直し等でノートの内容が重要になるので、板書について必要であればお願いした方がいい内容をいくつかご紹介します。
その他の普段の授業での配慮は【小学校の合理的配慮】と同じ内容になりますのでそちらをご参考にしてください。
- 友達のノートをコピーさせてもらう
- 板書をタブレットで撮影
- 板書を減らしてプリントにしてもらう
①友達のノートをコピーさせてもらう・・・先生と友達の許可を得て学校でコピーさせてもらう(中学生 になると板書がとても多い先生がいたり、ノートの内容は試験でも重要になってくるので)
②板書をタブレットで撮影させてもらう・・・最近の大学等では当たり前になっているようですが、板書はせずにタブレットで撮影するということも学校側に許可してもらえることもあるようです。
③板書を減らしてプリントにしてもらう・・・板書を減らしてプリントにしていただけないかというお願いも可能かもしれません。うちの子の学校は板書の量はそれほど多い印象はなく、その分プリントをくれるので助かっています。
学校によって対応してくれるかわかりませんが、合理的配慮なので必要な場合は相談してみることをお勧めします。
小学生のうちは家庭でノートを見返すことは少ないので必要ないかもしれませんが、ノートの提出が必要な場合や中学生になるとテスト対策でノートの見直しは必要になるのでタブレットでの黒板の撮影は検討するといいと思います。
タブレットは色々あってどれを買うか迷いましたが、うちの子はiPad Airを使用しています。
理由は2つあって
①絵を書くアプリ(アイビスペイント)を使用する際にiPadのタッチペン(Apple Pencil)が使いやすそうだったこと
②下の子がソロタッチというそろばんのような計算スキルを養う通信講座に入会させたかったから
という理由です。ソロタッチについて興味がある方はこちらをお読みください☛【ソロタッチと問題集】
以前使っていた手頃なタブレットに比べ、通信速度も使いやすさもとてもよく、動画を撮ったり編集したりするにもとても便利ですし、子供が使うには贅沢な気もしましたがiPadを選んでよかったと思っています。
iPadにもいろいろとありますが、我が家はiPad Airを選びました。サイズや機能面でとても満足しています。
ソロタッチもそうですが、z会のタブレット講座等iPadしか対応していない通信講座もけっこうあるのでiPadにしておけば、将来の選択肢も広がりいいのではないかと思います。
定期テストの合理的配慮
中学生になると教科担当の先生が作成するテストになります。
小学校の時の業者が作ったテストとだいぶ形式が変わってくるので定期テストの際、配慮してもらいたい内容をいくつかご紹介します。
単元ごとではなく学期ごとに1回か2回(中間・期末テストがある学校や期末テストのみなど学校によって定期テストの回数が違います)になるのでとても広い範囲になりますし、小学生のときより問題の難易度も上がります。
- テスト時間の延長について
- フリガナ付きのテストについて
- テスト前の合理的配慮
- 高校入試での合理的配慮
①テスト時間の延長・・・時間延長を希望する場合は必ず別室での試験実施となります。(我が子は別室が嫌だったので、時間延長はあきらめクラスで受けています。)
やはり教科によっては時間が足りない様子なのですが、延長してくれるといっても5分程度だそうですので、延長を希望するか悩ましいところです。
②フリガナ付きのテスト・・・中学生になると、業者のテストではなく各教科担任が作成したテストになるので、パソコンで作成している先生方はフリガナ付きのテストに簡単にできますが、手書きで作成している先生にとってはとても負担になったり、少し読みにくい場合もあるそうですがお願いすればやっていただけるそうです。
③テスト前の合理的配慮・・・通っている中学校では、入学して最初の定期テストは子供たちもどんな形式で出題されるのかわからないので、テスト前に模試や過去問の試験を実施してくれ、テストの形式に慣れるための配慮をしてくれました。
たまたま、学習障害に詳しい先生がいる学校でだったのでそういった配慮をしてくれたのだと思います。
なかなかここまでやってくれる学校は少ないかもしれませんが、個別対応で学校にお願いしてみる価値はあると思います。
模試や過去問があれば、フリガナが必要か、文字の拡大が必要か・時間延長が必要か等、試験前にどんな配慮が必要か対策がとれるので安心です。
④高校入試での合理的配慮・・・中学校で配慮していただいた事実をもとに高校受験での試験のときの合理的配慮を受けられるかどうかの基準になるようです。
ただ、入試の時間延長等に関しては公立では認められているようですが、私立は学校の方針によって認められない場合もあるので事前に確認が必要です。認められる場合でも、個別に申請が必要になります。
高校入試に際しては、診断書があった方がいいとのアドバイスを受けました。
テストの採点について
中学校のテストでは、漢字で回答しなければいけないところに関しては問題文に「漢字で回答」というような文言があります。その場合、漢字が間違っていたら✗になります。
特に漢字で回答の文言がない問題に関しては、回答欄にひらがなで記入しても内容があっていれば〇になったり漢字が間違っていても△になる場合があります。(先生や学校の方針によって違う場合や都道府県の県立高校入試に準ずる場合もあります)
漢字で記入してその漢字が間違っていたら✗になってしまう場合があるので注意が必要です。
英語のスペルに関しても、大事な単語はスペルが間違っていたら✗になりますが、文章の中の一部の単語だったりすると間違ったスペルでも△にしてくれる場合があります。
採点基準に関しては、地域や先生によって違いがあるかもしれませんので面談等で伺っておくといいと思います。
この採点基準は、学習障害の有無にかかわらず全員一律の基準だそうですので特別な配慮という訳ではありません。
基本的に都道府県ごとの公立高校受験の際の採点基準に基づいている学校が多いのではないかと思います。
漢字指定で出されそうなものを予想して覚え、漢字指定ではなさそうなものは無理に漢字を覚えなくて大丈夫など対策はできそうです。
中学校での課題提出の合理的配慮
最近の中学校では、定期テスト前に5教科のワーク(問題集)の課題提出があります。
基本的にテスト範囲のワークをテストの2週間前にワークの提出範囲が知らされてテスト直前に提出するという学校が多いと思います。
中学生になると、課題の提出期限を守ることはとても重要になってくるのでテストの点数が思うようにだせない分、提出期限だけは親御さんもしっかりと把握して提出できるようにサポートしてあげてください。
範囲がとても広いので、ワークを1回やっただけで暗記する時間がほぼないままテスト前日を迎えるという事態になってしまいました。
もちろん、先生も私も前もって早めにワークをやっておきなーと伝えてくれていて、早めにやっていはいるのですが、思っていた以上に範囲が広かったのです。
最初の定期テストの状況をみて、先生が次のテスト対策としてワークの提出範囲を早めに知らせてくれるという合理的配慮の提案をしてくれました。
また、教科によってはすべてのワークの問題を解くのではなく難易度の高いものは無理にやらなくてよい(これは生徒全員に向けてのアナウンス)ということを実施してくれました。
これらの配慮は学校や教科担任の方針にもよります。
我が子の先生は学習障害にとても理解ある方だったので本当にありがたいのですが、まだまだ学習障害について理解が少ない先生や学校もあるそうです。
先生にお願いする際の参考にしていただき、ここまでの配慮を受けられない場合もあることをご承知おきください。
合理的配慮について思うこと
これらの合理的配慮は、病院の診断書等がなくても学校側が必要と判断した場合に受けることができます。
うちの子の場合は通級に通っていたこともあり後ろ盾のようなものがあったので学校側も認めてくれやすかったのかもしれません。
そういった後ろ盾がない場合(様々な理由で通級に通えないまたは通うことに躊躇していてる場合)でも、同じような配慮を受けられるようにお子さんのために学校側へお願いすることはあきらめずにやってみてほしいです。
内容は理解できているのに読めない書けない(読み書きに時間がかかる)ためにテストの点数がよくなく実力を発揮できず、悔しい思いをしたり自信をなくしてしまったりして夢をあきらめたりということがないようにしてあげたいです。
我が子は合理的配慮を受けることによってだんだん自信をもてるようになってきました。
そして、その合理的配慮も成長とともに変化していったり、必要としなくなったものもあり、その時々のお子さんに合った配慮を受けることが大事なことだと思います。
合理的配慮を受けることは決して恥ずかしいことではなく、目が見えにくいから眼鏡をかけたり耳が聞こえにくいから補聴器を付けるのと同じような事だと思います。
子供が抱える困難を少しでも減らし学校生活が楽になったり、実力を発揮するための手段なので、躊躇せずに(もしろんお願いするときは日頃の感謝を伝えたうえで)学校側へお願いしてみてください。
ただ、一番大事にしてあげたいのは『子供の気持ち』です。
いくら、やった方がいいと思う配慮であっても子供が嫌だと思うこと(時間延長やタブレットの持ち込みなど)は、無理強いしない方がいいと思います。
あくまで、子供の学校生活が楽しく健やかにに過ごせるようにというスタンスで、必要な合理的配慮を考えたらいいのではないかと思います。